シーカヤック歳時記
季節毎の海の特徴をまとめてみました

小豆島 一日おまかせツアー
- 目次 -
海の特徴・・・春の海 編
海の特徴・・・夏の海 編
海の特徴・・・秋の海 編
海の特徴・・・冬の海 編
瀬戸内海の気温と海水温

季節毎の特徴

  1. 春の海

    #01 穏やかな春の海

  2. 春の海

    #02 爽快な夏の海

  3. 春の海

    #03 暖かな秋の海

  4. 春の海

    #04 凜とした冬の海

#01 春~初夏の海

春うらら「凪」の海

春の海春の海は最も穏やか

気温がそれほど上がらない「春から初夏」にかけては島特有の「海陸風」の影響がなく、一年を通して海が最も穏やかな時期となる。高気圧の中心に入った時などは湖のような「凪」の海となり、最高に心地よいパドリングが楽しめる。

ただし、春先は大陸からの「移動性高気圧」が通過する時期となるため、寒暖差が激しく、天気が変わりやすい。3~4日周期で天気が入れ替わるため「三寒四温」とも呼ばれるが、当たれば天国、外れれば地獄。気圧の谷では春の嵐(メイ・ストーム)が吹き荒れる。

春の海水温は低いが透明度は高い

春は水温が低いため(水風呂以下)海水浴は楽しめないが、透明度が高く海底まで丸見え。カヤックの上から海底散策を楽しんだり、春ワカメを採取したり旬な味覚も楽しめる。

また、春はうるさい虫も少ないのでキャンプにも最適だ。晴れた日は放射冷却により朝晩はグンと冷え込むが、冷え込んだ日の朝焼け(特に日の出前のトワイライトタイム)は感動的な美しさがある。「春は曙」である。

春の海梅雨

夏と冬の気圧配置が入れ替わる6月と9月は前線が発達し「梅雨」となる。この時期は南からの湿った風(南風:はえ)が流れ込むため、どんよりとした空模様になることが多い。気分まで暗くなるから「黒南風」(くろばえ)とも呼ばれる。

しかし、雨天は陸と海との気圧差が無くなるため風が止まり「凪」の海になることが多い。そんな時は気分も晴々、最高に心地良いパドリングが楽しめる。総じて梅雨時の海は幻想的で穏やかだ。

春の海霞と霧

春は植物が一斉に活動を始める時期。この時、植物たちの「蒸散」により大量の水蒸気が大気中に放出されるため、ぼんやりと「霞」(かすみ) がかかったような風景となる。

また、気温が上昇する6月から7月初旬にかけては、暖かく湿った空気が海面で冷やされ「霧」が発生することも度々。海上は海と空との境界線が消え幻想的な風景となる。

「濃霧」になると旅客船などは欠航になるが、海の彼方から見えない汽笛が水中を通り抜ける。夏を知らせる島の風物詩でもある。

#02 夏の海

爽快な夏の海。シーブリーズを楽しもう。
積乱雲太平洋高気圧

梅雨が明けると、日本列島はハワイ諸島辺りから張り出してくる[太平洋高気圧」に覆われることで大気の状態が安定し、好天が続くようになる。中でも高気圧の中心に入った夏の海の「爽快感」は格別だ!

しかし、近年の夏は頼みの高気圧が入りきらず、どんよりとした空模様が続くことも増えた。地球温暖化による海水温の上昇により、低気圧が発達しやすい環境になっているからだ。今世紀中に温暖化は止められるだろうか・・・。

積乱雲海陸風

海に囲まれた島では、夏になると気圧配置による風とは別に、「海陸風」(別名:島風)と呼ばれる局地的な風が吹く。

気温が上がり始める日中は海から陸側へと風が吹き、気温が下がり始める夕刻以降は陸から海側へと風が吹く。前者を「海風」(別名:シーブリース、またはオンショア)、後者を「陸風」(ランドブリーズ、またはオフショア)と呼ぶ。

なお、気温が上がる午後からの方が風は強まる傾向にあり、猛暑日などは時折猛烈なシーブリーズが吹き荒れることもあるが、「風をどう攻略するか」といったところもカヤッキングの楽しさの一つである。

詳しくは → 海陸風について

積乱雲白雨

積乱雲が発達する夏場は「白雨」(はくう)に遭遇することも多い。近頃では「ゲリラ豪雨」などとも呼ばれるが、辺りが真っ白くなるくらいの雨が降るから「白雨」。日本語の方が風情があってお上品である・・・。

それはさておき、海上で浴びる雨はとても気持ちが良い。体感してみたいことには想像ができない世界観であるが、360度水に囲まれた世界で人はなぜだかリラックスする。

生きとし生けるものの全ては、遠い昔に海から生まれて来たからである。陸に上がる進化の過程で体内に血液という海を創り、子を育むために羊水をいう仕組みを創造したのだ。羊水と海水は同じ成分でできている。大潮の日に赤ちゃんが多く生まれるのは偶然ではないのだ。

積乱雲海そのものを楽しむ

気温が35℃を超えるような猛暑日は、さすがに海の上も暑い!地面から蒸し暑い熱気が這い上がってくる陸上に比べれば雲泥の差はあるが、正直のんびりと漕いでなんかいられない・・・。

てなわけで、暑い日は海に飛び込んだり、泳いだり、潜ったり、海そのものを楽しむ「海遊び中心のツアー」となる。夏場のカヤックは沖合の無人島など美しいビーチに行くための手段という感じだ。

#03 秋の海

澄み渡る青空。美しい夕陽。秋は全ての条件が揃うゴールデンタイム。
積乱雲ゴールデンタイム到来

水温高く、気温低めの秋は、漕いでも良し。泳いでも良し。潜っても良し。と全ての条件が出揃う海のゴールデンタイム。シーカヤックの真骨頂である「長距離パドリング」を楽しむには最高のシーズンとなる。

また、浜も一年を通して最も美しくなる時期。おまけに、うるさい虫もおらず、薪も良く燃えるしと、キャンプにも最適だ。(10月より催行)

ただし、秋は春と同様、「移動性高気圧」が通過する時期となるため、天気がコロコロと変わりやすく、当たり外れが大きいのも特徴だ。

積乱雲秋雨8月下旬~9月上旬

秋本番を迎える前に必ずやってくる愛しき悪童どもがいる。バイキンマンとカビるんるん。ではなく、秋雨前線と台風だ!

秋雨は「秋の長雨」とも呼ばれるが、この時期は台風の接近により南海上から湿った空気が運ばれるため、集中豪雨をもたらすことが多い。また、秋は潮位が最も高くなるため、台風の進路や大きさによっては「高潮」などの恐れもある。

もちろん、台風が接近したらツアーは中止となるが、春と同様、梅雨時の海は非常に安定している。したがって、台風にさえ当たらなければ、最高のパドリングが楽しめる

積乱雲秋は夕暮れ

「春は曙」ときたら「秋は夕暮れ」お馴染み清少納言の『枕草子』であるが、この感覚は平安時代から変わらぬ日本人のDNAであると思われる。が、実際のところ、秋の夕陽は本当に美しい。

気温が下がる秋は入道雲が立たなくなるから夕陽が雲に隠れる心配がない。空気が乾燥し水蒸気が減るから風景もスッキリ・クッキリ遠くまで見える。空気の透明度が増すから、空や海の青さが増し、夕陽も一層鮮やかに。以上、夕陽が美しく見える条件が全て揃うのが秋。

というわけで、美しい夕陽が見たい方は秋にお越し下さい。特にオススメなのが10月。中旬以降は水平線に沈む「だるま夕陽」が見られるかも。

積乱雲ところで秋はいつから?

社会通念的には9月からが秋となるが、暦(二十四節季)の上では「立秋」(8/8頃)からが秋となる。が、毎日海に出ている僕たちの「肌感覚」からすると、海は「8/20頃」からが秋である。

お盆を過ぎると海は足早に秋モードに突入する。陽が落ちるスピードが急速に早くなり、風がひんやり(凛)としてくる。うるさいセミの声が涼しげな松虫や鈴虫の声に変わり、静かな時間が流れ始める。空気の透明感が増し、空の青さや高さが増してくる。これらを感じたら秋の始まりだ。

→ 写真は8月25日の海

#04 冬の海

凜とした冬の海
積乱雲積乱雲
旅の時間

気圧配置が「西高東低」となり、北寄りの風が吹き始めたら冬の始まりだ。暦の上では「立冬」(11/7頃)からが冬となる。

冬の海は時化やすく、凍てついたダウンバーストが吹き付けるため、海に出られない日も増える。そのため、ツアーはお休みとなるが、ガイドはここからが夏休みの本番である。

カヤック乗りにとって一番グッとくるのが冬の海である。カヤックは冬にこそ本領を発揮する北の舟だからだ。旅の荷物を満載したカヤックは優に100kgを超えるが、ズッシリと重いカヤックは多少の波風では動じない。その重い舟を進めて行くのがなんとも痛快なのである。もの好きだな。と言われればそれまでだが、命をかけて遊ぶからおもしろいのだ。冬旅は海を学ぶための修験道。

 

←写真は 「瀬戸内カヤック横断隊」
山口県の祝島から小豆島(暫定)までの約300kmを横断するシーカヤック・アカデミー
毎年11月中旬頃に開催

#05 舞の海

力士

「平成の牛若丸」「技のデパート」と呼ばれた。

それは海じゃなく力士だろ!

ツッコミありがとうございます。

瀬戸内海の気温と海水温

小豆島の気温と海水温
小豆島周辺海域の気温と海水温表

海水温のピークは9月前半

海水温は気温よりも約1ヶ月遅れてピークを迎えるため、水温が最も高くなるのは「8月後半~9月中旬」頃となり、晴れた日は「10月中旬」まで夏の装いで海水浴が楽しめます。ただし、10月以降は水温よりも気温の方が低くなため、海から上がった後は肌寒さを感じることが多くなります。

海水浴の快適温度は水温25℃以上

一般的に水が心地良い(冷たくない)と感じる水温は「25℃以上」となり、例年7月中旬の「海の日」あたりから25℃を超えはじめます。ちなみに、温水プールの水温は28~30℃、競泳用のプールは26~28℃、水風呂は18℃です。

透明度は冬場が高く夏場は低い

瀬戸内海で水温が最も低いのは3月となり、水温が低い分だけ透明度も最も高くなります。※1 また、冬場から春先にかけては太陽の光が海底まで届くため、海草(水草)や藻類(ワカメなど)たちが育つ時期となります。5月まではカヤックの上から海底散策を楽しみながら、春ワカメも食べ放題!

  • カヤック透明度が上がる冬から春にかけては植物たちが育つ時期。春先は海底まで丸見えだ!
  • カヤック春はワカメが旬。生は茶色ですが、お湯に入れると緑色に。
  • カヤック春の海は透き通って見える
  • カヤックエメラルドグリーンの初夏(7月ころ)の海

※1海の透明度について

海の透明度は時期や海域により大きく異なります。潮の流れがある沖合の無人島や半島の突端などは通年を通して透明度が高いですが、潮の流れがない湾内などは透明度が低くなります。加えて、水温が上がる6月ころからは植物プランクトンたちが一気に増えるため、全体的に海の透明度が下がり、緑っぽい色になります。対して冬場はプランクトンが減るため透明度が高くなります。透明度が高くなると光りの屈折により青色だけが透過するため海が青く見えます。