#01 春~初夏の海

春うらら「凪」の海
春の海は最も穏やか
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気温がそれほど上がらない「春から初夏」にかけては島特有の「海陸風」の影響がなく、一年を通して海が最も穏やかな時期となる。高気圧の中心に入った時などは湖のような「凪」の海となり、最高に心地よいパドリングが楽しめる。
ただし、春先は大陸からの「移動性高気圧」が通過する時期となるため、寒暖差が激しく、天気が変わりやすい。3~4日周期で天気が入れ替わるため「三寒四温」とも呼ばれるが、当たれば天国、外れれば地獄。気圧の谷では春の嵐(メイ・ストーム)が吹き荒れる。
水温は低いが透明度は高い
春は水温が低いため(水風呂以下)海水浴は楽しめないが、透明度が高く海底まで丸見え。カヤックの上から海底散策を楽しんだり、春ワカメを採取したり旬な味覚も楽しめる。
また、春はうるさい虫も少ないのでキャンプにも最適だ。晴れた日は放射冷却により朝晩はグンと冷え込むが、冷え込んだ日の朝焼け(特に日の出前のトワイライトタイム)は感動的な美しさがある。「春は曙」である。
梅雨
夏と冬の気圧配置が入れ替わる6月と9月は前線が発達し「梅雨」となる。この時期は南からの湿った風(南風:はえ)が流れ込むため、どんよりとした空模様になることが多い。気分まで暗くなるから「黒南風」(くろばえ)とも呼ばれる。
しかし、雨天は陸と海との気圧差が無くなるため風が止まり「凪」の海になることが多い。そんな時は気分も晴々、最高に心地良いパドリングが楽しめる。総じて梅雨時の海は幻想的で穏やかだ。
霞と霧
春は植物が一斉に活動を始める時期。この時、植物たちの「蒸散」により大量の水蒸気が大気中に放出されるため、ぼんやりと「霞」(かすみ) がかかったような風景となる。
また、気温が上昇する6月から7月初旬にかけては、暖かく湿った空気が海面で冷やされ「霧」が発生することも度々。海上は海と空との境界線が消え幻想的な風景となる。
「濃霧」になると旅客船などは欠航になるが、海の彼方から見えない汽笛が水中を通り抜ける。夏を知らせる島の風物詩でもある。