海陸風(島風)についての解説です
「風」は気圧差(気圧配置)によって生じ、気圧の高い方から低い方へと流れますが、周囲を海で囲まれた島の場合は、これに加えて「海陸風」(別名:島風)と呼ばれる局地的な風が吹きます。海陸風は海と陸との気圧差により発生しますが、陸は海と比べて暖まりやすく冷めやすい性質があるため、両者の間に気温差(気圧差)が生じてしまいます。陸の面積が広く、標高が高いほど、そして気温が上がるほど、気圧差が大きくなり、風も強くなります。
【解説】海陸風の仕組み
陽が昇り陸地が暖められると山の上空で上昇気流が発生。吸い上げられた水蒸気が上空で冷やされ雲(積乱雲)となる。この時、上空へ引っ張られる力により空気が膨張し山の気圧が下がり始める。すると気圧の高い海から気圧の低い山の上空へ向けて風が流れ込む。この時の海から陸へと流れる風を「海風」(別名:シーブリーズ、オンショア、海軟風)と呼ぶ。
一転、気温が下がりはじめる日盛り(午後3時過ぎ頃)以降は、海上の空気が縮小して海側の気圧が下がりはじめる。すると今度は山側から気圧の低い海側へと風が流れ始める。この時の陸から海に向かって流れる風(図右)を「陸風」(別名:ランドブリーズ、またはオフショア)と呼ぶ。
気温の上がる夏場は気圧の変化に注意
海陸風は気温上昇に伴い強さを増すため、夏場にかけて勢力が強くなり、日中は気温がピークに達する午後から風が増す傾向にある。また「海風」は別名「海軟風」とも呼ばれる通り、非常に心地良い(ゆる~い)風である。しかし、気温が35℃を超えるような猛暑日などは「猛烈なシーブリーズ」が吹き荒れることもある。ただし、海風は陸に向かって吹くためそれほどの危険性はない。注意すべきは「沖に向かって吹く陸風」である。特に猛暑日の日没時や上空に分厚い雲がかかった時などは、瞬間的に突風のような「おろし風」(出し風)が吹くことがあるため、海上では気圧の変化などに細心の注意が必要だ。
一方、陸上ではこれらの風のおかげで夏場は過ごしやすくなる。日中は海風が吹き上がり、蒸し暑い夕暮れ時は、陸風により一気に気温が下がる。正に天然エアコンであるが、島の夜が過ごしやすいのは海陸風のおかげである。