安全対策と考え方Safety Policy

セーフティーポリシー

自然の中では 「リラックスすること」
が、最も安全に楽しむ方法です。

事故を防ぐ3つの考え方

1.少人数であること

事故やケガが発生する背景には因果法則があります。1件の重大事故が起こる背景には29件の軽微な事故があり、更に1件の軽微な事故の背景には300件の「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった「小さな危険分子」が潜んでいます。つまり、小さな危険分子を事前に取り除くことさえできれば重大事故は起こらないが、それに気が付かなかったり、そのままにしておくと、どこかで必ず事故が発生する。これは『ハインリッヒの法則』と呼ばれるリスクマネジメントの基本概念ですが、野外活動においても同様です。

よって、私たちガイドの仕事は小さな危険分子を事前に消し去ることです。しかし、そのためには「少人数であること」が絶対条件です。人数が多くなるほど目が行き渡らなくなるからです。同時に咄嗟の状況にも対応できなくなります。

ヒアリハット
事故やケガには「1:29:300」の法則がある

2.ワイルドであること

海は危険か?答えはNOです。海には「危険な状況」があるだけで、危ないと判断したら行かなければいいだけです。では、カヤックは危険か?これもNOです。カヤックはとても安全な乗り物です。では、なにが危険なのか。答えは「乗り物を操作する側の心理」にあります。実際、事故の大半は人間の「判断ミス」が原因です。加えて、重大事故の多くは危ない場所ではなく、事故が起こりそうもない場所で起きています。自動車であれば見通しの良い直線道路などです。道が狭ければ注意しますが、道が広くなった途端にスピードを出す。つまり、事故の根源は「ちょっとした油断」です。

よって、場所場所で「注意を促すこと」がガイドの役割です。”WILD” (野生)の本質的な意味は「絶えず慎重であること」それが自然の中で生き残るための唯一の方法です。

3.リラックスすること

海を安全に楽しむ最善の方法は「リラックスすること」この一言に尽きます。焦ったり緊張すると筋肉が固くなるからです。視界も狭くなり、周りも見えなくなります。

とはいえ、最初はどんな人でも緊張します。スポーツ万能なアスリートであっても最初は同じです。でも、ご安心ください。少しの間は我慢が必要ですが、コツが掴めてくると楽しくなってきます。楽しくなってくると力が抜けてきます。周りを見る余裕も生まれてきます。視界が広がるほど、スピードも増してきます。この間、ざっと20分くらいです。(ここまでは、ガイドがすぐ側でサポートします。)

ただ、それでも予期せぬことが起こりうるのが自然の怖さです。では、どのような方法で安全を担保しているのか。答えは「起こりうる状況を前もってお伝えすること」です。例えば、10分後に風が吹くよー。雨が降るよー。そっちは危ないよー。ここから先は潮が流れるから5分間がんばって漕いでねー。などといったことですが、少し先の未来が予測できていれば、落ちついて行動したり備えることができます。

転ばぬ先の杖ならぬ、転ばぬ先のガイドでありたい。そのために、ガイドはあらゆる状況の海を漕いでいます。ツアー中は様々な航海術を駆使して、より安全で快適なルートを絶えず探しています。のんびり漕いでいるように見えて、頭の中はフル回転。雲の動きや気圧の変化、風向きや風の匂い、空気の湿り具合、海鳥たちの行動や潮の動きなど、目に見える森羅万象から少し先の未来を予測し状況判断を行っています。ツアーではこうした目に見えない情報を共有することで安全をキープしています。

海六カ条
事務所の壁に貼ってる標語です。元々は「あおいくま」 という人生訓ですが、
数々の失敗と反省の中から「おこたるな」を足して「海六訓」としました。