ファミリーツアーにつて海を安全快適に楽しむために

ファミリーカヤック

はじめに

ドリームアイランドでは小学生から(条件付きで3歳から)のファミリーツアーを受け入れしています。コースは「瀬戸内ハーフデイカヤッキング」の枠を利用した約3時間の半日コースとなります。もちろん「一家族限定」のプライベートツアーです。

しかしながら、小さいお子様を含むシーカヤックツアーを開催している事業者は全国的に見てもそう多くはありません。(自治体などが行っているレジャー艇を使った体験教室的なものは別として、シーカヤック(ツーリング艇)を使った「ツアー」を行っているところは非常に希です)理由はいくつかありますが、一番は安全管理上のリスクが高く、中止確率が高いことです。

したがって、当方独自の基準として「小学4年生未満」のお子様を含む場合は、時期や時間帯、漕ぐ場所などに制限を設けております。以下はその詳細です。多少長くなりますが、参加を検討されている方は、ぜひご一読頂ければ幸いです。

原則、小学4年生以上は制限無し。4年生未満は制限有り。

学年 フィールド 催行時期 時間帯
4年生以上 制限無し 4月~10月 午前・午後どちらでも
4年生未満 主に湾内 7月~9月 午前推奨
ー 目次 ー
1.年齢制限について
2.時期と時間帯の制限について
3.フィールドについて

1.何才から漕げる? 年齢制限について

条件付で3才から

風が無く海が穏やかであれば、本当のところは何才からでも行けます。(ガイド自身は娘を0歳の時から乗せています)が、いつも穏やかとは限らないのが自然です。そこで、ツアーではある程度の体力が付いてくる「3歳前後」からの受け入れとしています。参加条件としては 以下の3点です。

  1. 外遊びが好きなこと
  2. 水遊びが好きなこと(水を怖がらないこと)
  3. 保護者の方がカヤック経験者、またはアウトドアにご理解のあること。
    (多少の危険性を伴う野外活動であることをご理解いただける方)

要はお父さんお母さん次第ということですね。なぜなら漕ぐのはほぼお父さんお母さんですから・・・。小学生になるとある程度漕げるようになりますが、入学前の園児に関しては、海に手を突っ込んでみたり、パドルを突っ込んでみたり、漕ぐというよりはマネをする。または邪魔をする。でもって気が済んだら寝るzzz・・・。以上、終始シングルカヤック状態です。というわけでお父さんお母さんが漕げるかどうか。楽しめるかどうか。の方が重要です。

ファミリーカヤックファミリーカヤックファミリーカヤックファミリーカヤック
園児の持続力はアンパンマンで鍛えた30分がいいところ!?前半はいろんなことをしでかしますが、しばらくすると、zzz・・・。海の上をゆくカヤックは波の音と適度な揺れが眠気を誘う「ゆりかご」状態。なお、小さいお子様はお母さんと一緒に乗る場合や三人乗りのカヤックを使う場合など、いくつかパターンがありますが、いずれも状況に応じてベストを考えますのでご心配なく。

大人と一緒に漕げるのは平均4年生から

個人差はありますが、ある程度漕げるようになるのは平均して2年生くらいからとなります。(それまでは座高が低いためパドルがカヤックに当たりうまく漕げません)中には高学年ばりに漕ぐスーパー1年生もいますが、いずれも低学年のうちはそう長くは漕げません。したがって、タンデム艇の後ろでお父さんお母さんががんばって漕ぐ感じとなり、フィールドも比較的穏やかな「湾内」が中心となります。

一方、4年生くらいからは大人と一緒のペースで長距離も漕げるようになります。そのため、フィールドの選択肢もぐんと広がります。また、身長が140cmを超えたらシングルカヤックにも乗れるようになるため、「組み合わせ」のバリエイションも広がります。シングル艇にお子様、タンデム艇にパパママのペア、といった組み合わせや、高学年のお兄ちゃんお姉ちゃんがいる兄弟の場合は、タンデム艇に兄弟ペアというのもありです。得てして親と組むとズルをして漕ぎませんが、兄弟同士だと俄然漕ぐようになります。パートナーをいろいろ変えてみるのもおもしろいです。

ファミリーカヤックファミリーカヤック
高学年からはシングル艇や、タンデム艇に兄弟ペアで乗ることもできます。

2.時期や時間帯の制限

4年生未満は夏場限定・4年生以上は制限無し

本来カヤックは季節を問わず楽しめるアウトドアスポーツです。しかしながら、以下の理由から「小学4年生未満」のお子様が含まれる場合は「水温の高い夏場限定」としています。4年生以上の高学年に関しては原則制限はありません。

4年生未満を「夏場限定」にしている理由

通常シーカヤックに乗る時は「船内への浸水と水濡れによる体温低下を防ぐ」ため、「専用の防水カバー」を装着します。船内に大量の水が入るとバランスがとれなくなり危険だからです。そのため、波が立つ風のある日や雨足が強い場合、あるいはそれらが予測される場合、加えて外洋へ出る場合などは必ずカバーを装着します。ところが、 平均「4年生未満」の子どもは防水カバーを自力で脱着することができません したがって、低学年のお子様を含む場合は防水カバーなしでもへっちゃらな「水温が高い夏場限定」となり、漕ぐ場所も「比較的穏やかな湾内など」に限定されます。一般ツアーと比べて中止確率が高くなるのはこのためです。

スプレーカバースプレーカバー
防水カバーはテンションをかけて装着するため、小さい子供は手が届かなかったり、力が及ばす脱着が困難。したがって、カバー無しでもいける水温の高い夏場限定となり、漕ぐ場所も比較的波のない湾内などに限定される。

夏場は「午前ツアー」を推奨

干満の差が激しい瀬戸内海における「海のコンディション」(快適度)は「潮と風」の状況により決まります。中でも最高の条件は「高気圧が入った時の満潮時の海」です。満潮時は透明度が高く、澄んだ海で爽快な海遊びが堪能できます。

一方、干潮時は透明度が下がり、湾内などは水がかなり濁ります。そのため泳ぐのは適しませんが、代わりに磯場やタイドプールなどで生きもの観察ができます。磯は得体の知れない生きもの天国ですが、見るだけじゃなく、触ってみたり、食べてみるのも良い体験です。(磯の生きものはぜんぶ食べられます。毒のある食べものは一切ないのでご安心ください。見た目がヤバイのも多いですが、食べてみると意外においしいく、陸で摂取できないミネラルバランスも最高です。)

このように、潮の状況によってもだいぶ違いがありますが、それより直接的な影響を及ぼすのが「風」です。風が強まると波が高くなりツアーが中止になることもあります。加えて、気温の上がる夏場に関しては、島特有の「海陸風」という局地的な風が吹くため、特に「晴れた暑い日の午後」は、海が荒れやすい傾向にあります。(雨天や曇りの日は海陸風が弱まるため、穏やかになる傾向があります)

以上の理由から、小学4年生未満のお子様を含む場合は、比較的海が穏やかな「午前ツアー」を推奨しています。もっとも、シーカヤックの場合は多少風があった方がおもしろいのも事実です。風を味方に付ければスピードも出るし、距離も伸ばすことができます。荒波を乗り越えることも貴重な体験です。というわけで、4年生以上の高学年については、午前午後どちらでもOKということにしています。

小豆島の海小豆島の海

左は夏の午前中の海。山の上空にモクモクと積乱雲(入道雲)が湧いています。この時、山の気圧が下がり始めることで、日中は海側から山側へと「海風」(シーブリーズ)が吹きます。海風は気温が上がるほど勢いを増すため、気温のピークを迎える午後2~3時ころはシーブリーズが吹き荒れることもあります。右の写真が午後の海の様子。風が出て波が立つので海がキラキラしています。

一転、気温が下がり始める日盛り(午後3時過ぎ)以降は、海側の気圧が下がり始めるため、今度は山側から海側へと「陸風」(ランドブリーズ)が吹きます。ここで注意すべきは「陸風は沖に向かって吹く」という点です。加えて、夏日や猛暑日などは稀に突風のような「出し風」が吹くこともあるため、海上では気圧の変化に細心の注意が必要です。

※風が吹く前は兆しや原因があるため、基本は目測と五感による経験則で感知していますが、念のためガイドは気圧計(デジタル)も活用して安全管理を行っています。

3.フィールドについて

瀬戸内ならではの環境

瀬戸内海はシーカヤックを行う上で、この上ない条件が揃った希有なる環境です。とりわけ、半島に囲まれた湾内などは、大きな「うねり」が入ることもなく、穏やかで安定しています。また、瀬戸内一帯は土台が「花崗岩」であるため、砂浜がいたるところに点在しています。いつでも逃げ込める安全地帯が点在していることは、なによりの安心材料です。加えて、遠浅の海岸が多く、自然海岸は急に深くなるといったこともありません。以上、いくつもの安心材料が揃っていることが、ファミリーツアーが催行できる一番の理由です。

小豆島の海小豆島の海
(写真左)花崗岩の海岸にはいたるところに砂浜が点在する。瀬戸内海は平均水深30メートルと非常に浅く(湾内は10メートル前後)、沿岸部は遠浅の海岸が多い。

島だからこその恩恵

風裏穏やかな瀬戸内海といえども、風向きや風の強さによっては「時化る」ことも多々あります。しかし、島の場合は必ずどこかに「風裏」となる平和な場所が存在します。そこで、当方ではそうした場所まで移動してツアーを行っています。手間はかかりますが、一手間加えることで安全快適なカヤッキングを楽しむことができます。

小豆島の海小豆島の海
二つの写真は同日・同時間の海です。左が風表、右が風裏です。まったく別世界ですね。天国と地獄。この日は西風が吹いたので東側の海岸(風裏)に回ってツアーを行いました。

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