NPO(法人)の基礎知識

NPO法人(特定非営利活動法人)の基本概念や株式会社との違いなどを解説しています。

1. NPOとは

NPOは “Non Profit Organization”(Non Profit=非営利、Organization=組織)の略語で、直訳すると 「非営利組織」 となります。最近では一般的にNPO法人(特定非営利活動法人)のことを指すようになりましたが、広義では財団法人、社団法人、医療法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、消費者生活共同組合、労働組合財団法人などの公共団体や公益法人なども含み、狭義では非営利での社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体や任意団体などのボランティア組織や団体を指すこともあります。

また、NPOに似た組織にNGOがありますが、NGOは “Non Governmental Organization” の略語で 「非政府組織」 のことです。政府組織とは区分され、正式には国連憲章71条にもつづく協議資格をもって、主に国際畑で活躍する民間組織のことをいいます。地域社会を活動フィールドにするNPOに対して、国際社会で活動するのがNGOという区分ですが、活動するフィールドを除いては根本的な異差は無いため国内法上は非営利団体や特定非営利活動法人(NPO)の一つとされています。

NPOの一般的な認識としてあげられる項目
公式の組織
非政府組織
非営利分配
自己統治、自主管理
自発的組織
公共性

非営利について

NPOを理解する上で最初に押さえておきたいのは 「非営利」 という言葉の意味についてです。一見すると 「NPOは非営利だから、営利を求めない=儲けてはいけない=ボランティア」 と連想しがちです。が、これは間違いです。「非営利」 とは 「営利」 を求めてはいけないという意味ではなく、 「利益」 を関係者(構成員)で分配してはならない。つまり 「非分配」 という意味なのです。

具体的に説明すると、一般的に株式会社の場合は儲かったお金(利益が出た場合)は関係者(株主)に分配することができます。それが株式会社の目的だからです。ところが、NPO法人の場合は儲かったお金を関係者で分配することができません。儲かったお金は地域のための事業、次の事業に再配分、あるいは再投資せよ。というのがNPOのルールだからです。つまり 「非営利」 とは、儲かったお金を関係者に分配したらダメですよ。という意味で、地域社会を発展させるための事業資金に回してくださいという意味です。

要するに、儲かったお金の分配方法が違うだけで、株式会社もNPO法人も同じ民間企業であることに変わりはなく、収益事業による税率も同じであれば、仕事をしてお金を稼がないことには、食べていくことも、事業を続けていくことができないことにも変わりはありません。詳しくはNPO法人と株式会社の違いで後述しますが、これは事業目的(ミッション)の違いによるもので、「経済的利益」 の追求を目的とする株式会社に対し、NPOは 「社会的利益」 を追求することが活動目的となるためです。この事業目的の違いがNPOと株式会社の利益分配方法の違いとなります。 

ややこしいですね。でも、がんばって稼いだお金をもらえないなんて、そんなのおかしいじゃないか!やっぱりNPOはボランティアじゃないかと益々疑いが強くなります。そこで次は、スタッフの報酬や仕組みはどうなっているのか。NPOとボランティアはどう違うのか。NPOと株式会社はどこが違うのか。などについて解説します。