シーカヤック(ツーリングカヤック) Sea Kayak
カヤックには海用や川用など、フィールドや用途に応じて多種多様なものが存在するが、海の狩猟文化から誕生した起源から言えば「シーカヤック」が元祖である。タイプとしては輸送用として発展した「アリュート系」のものと、狩猟用として進化した「グリーンランド系」の2系統があるが、現在はアリュート系のカヤックをベースに、スポーツ用途に改良されたものが主流となっている。主にツーリング用途として使われることから、別名「ツーリングカヤック」または「ツーリング艇」とも呼ばれている。
素材と特性
素材としては海外製のポリエチレン一体形成による量産型カヤック(通称ポリ艇)と、カヤックビルダーがハンドメイドで制作するFRP製カヤックの2タイプがある。前者のポリ艇はスリ傷に強く、岩に激突しても壊れる心配が無い。タフである上に価格が安いのも特徴だ。ただし、重量があることや造形が大ざっぱであるため、やや機敏さに欠け、若干速力も落ちる。
一方、FRPは自在に形成できるため、バリエイションが豊富だ。パドラーの体格や用途、好みに応じて細分化されているため、エキスパートが好んで使用している。また、オプションで3分割や5分割にもできるため、置く場所がない都市生活者や遠征用途としても人気が高い。加えて、FRPは補修が可能なため、半永久的に使用できるのも利点だ。
ただし、FRPやカーボン製のカヤックは軽量で機動力に優れる反面、素材が硬く、荒波や強いうねりの中では突き上げ感が強い。そのため木造船のように衝撃を吸収してくれるポリ艇や組み立て式のファルトを好むパドラーも少なくない。車で例えるなら、FRP製は扁平のタイヤを履いたスポーツカーのような感じで、ポリ艇やファルトはやや鈍足だが乗り心地の良いツアラーといった感じだ。
生産国と販売形式
シーカヤックは北米を中心に発展したため、カナダのバンクーバーや米国のシアトル周辺に製造メーカーが多い。その他メジャーどころでは、イギリス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンなどの海側(北方ゲルマン系)のEU諸国。加えて、アウトドアが国技のようなニュージーランドにも製造メーカーがある。
国内においてはポリ艇の生産ラインは無く、シーカヤックビルダーが制作するFRP製のカヤック、及び折りたたみ式のフォールディングカヤック(下記)のみの製造となる。なお、ポリ艇は大手のアウトドアメーカーなどでも一部市販されているが、FRP製のカヤックは安全性やマナーなどの問題から市販されておらず、プロガイド(ショップ)から購入するのが一般的である。価格は20~60万円ほど。
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フォールディング カヤック
Foldeing Kayak / Falt Bort
カヤックの原点であるスキンカヤックの現代版で、フォールディングカヤック(英)、またはファルトボート(独)とも呼ばれる。主にアルミフレームによる組み立て式でバッグに収納できるため、遠征用として人気がある。バンクーバーの Feathercraft が有名。(2016年に生産終了)国内ではモンベル、フジタカヌー、バタフライカヤックスの3社が製造販売を行っている。価格は20~80万円ほど。
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レーシング カヤック
Flatwater Racing
オリンピックの種目にもなっている競技用カヤック。主に静水域でのスプリントに使用されるためフラットウォーターレーシングとも呼ばれる。膝でカヤックをニーグリップしてバランスを取る一般的なカヤックと違い、膝を立て、脚力で漕ぐスタイルとなるため素人に乗りこなすことは難しい。その他、サーフスキー呼ばれるシットオンタイプのレーシング艇もある。
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レクリエーショナルカヤック
Recreation Kayak
カヤックの普及用に量産されている入門用カヤックで、レジャーカヤック(通称レク艇)とも呼ばれている。安定性重視でひっくり返ることはまずない。そのため全国の体験教室などで使用されている。ただし「一次安定性」(静止している時の安定性)は高いが、「二次安定性」(動いてるときの安定性)が低いため、波風には非常に弱い。したがって、静水域での使用に限られる。あくまでレジャー用。
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シット・オン・トップ カヤック
Sit On Top Kayak
名前の通り舟の上に座って漕ぐカヤック。メンテナンス不要なレジャー艇で近年ではフィッシングカヤックとして人気がある。他方、安価で気軽に購入できることは歓迎すべきだが、海でのマナー違反や事故が多発しており、カヌーによる海難事故のほとんどがこのタイプの舟である。舟が重く、巡航性能や耐航性能が低いことも影響していると思われるが、事故は道具の問題では無く、乗る側の問題だ。
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リバーカヤック
River kayak
河川の多い日本ではシーカヤックよりもリバーカヤックから普及が進んだため、最も普及したカヤックである。衝撃に強いポリエチレン一体形成で岩にぶつかっても壊れることはない。場所や目的に応じてダウンリバー艇、スラローム艇、ワイルドウォーター艇、プレイボート、クリーク艇など様々な艇がある。 国内での製造は無く、海外製の輸入販売のみとなる。
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インフレータブル カヤック
Inflatable Kayak
川下り用の空気注入式のカヤック。ラフトのカヌーバージョンで別名ダッキ-とも呼ばれている。量販店などで販売されている安価なものもあるが擬い物も多い。その点ラフトメーカーが製造しているものは安心だ。素材が非常に丈夫で岩に激突したり乗り上げたりしても破れることはない。国内ではアキレスなどゴムメーカーが製造している。
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サーフ カヤック
Sarf Kayak
名前の通り、サーフィンを楽しむための波乗りカヤック。リバーカヤックに似ているが、船底が波乗りに特化したデザインで、反り上がったロッカーにフィンが付いている。カヤックというよりはサーフボードのカヤックバージョン。国内では熊本のWFK社が製造している。
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カナディアンカヌー
Canadian Conoe
カヌーといえば一般的にはカナディアンカヌーのことを指す。主に内海の静水域や湖、川の中流から下流域がフィールド。木製のものもあるが、FRPが主流。カヤックはダブルブレードパドルを使用するが、カヌーはシングルブレードパドルを使用する。たくさん荷物を積んでキャンプに行きたい。
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アウトリガーカヌー
日本ではあまり馴染みがないが、ポリネシアを中心に気温の高い太平洋の沿岸各地で最もスタンダードな航海カヌー。ハワイでは毎年「オーシャンアウトリガーカヌー」の世界大会が開催されている。小笠原にはかつてポリネシア人が持ち込んだアウトリガーカヌーと和船が融合した和洋折衷のカヌーもある。シングルブレードパドルを使用する。
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おまけ ダンボール カヤック
その気になれば、どこにだってイケルのさ!
夢と冒険の絶叫ダンボールカヤック
段ボールとガムテープと勇気があれば
30分で大海原へ行ける
はず・・・。
ライフジャケットを忘れずに。